誰もが長生きする社会。シニアとこれからシニアになる人たちと「長生きするのも悪くない」と思える仕組みをつくっていきます。
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新・生き方辞典 特別編
『サラリーマン最後の日』


file001 松本和夫さん 1952年生まれ [ホテル・旅行業界]

 

Q サラリーマン時代の仕事は?

44年間勤めあげたホテルで、うち社員教育を専門に担当した。

料理旅館の次男坊として生を受け、昭和49年にホテルに就職して10年間は接客の実務に携わった。全国青年弁論大会で日本一となったことがきっかけで人事部研修課に配属。以来33年間、一度の職場異動もなく社員の能力開発や人材育成に携わってきた。新人教育や全ての職層への研修も担当。チェーンホテルへの出張研修や、依頼企業の教育も行った。

 
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Q 「サラリーマン最後の日」どんなことを考えていましたか?

2019年の4月30日、平成の最終日でもありました。スタッフに最終出勤日であることを告げ、お世話になった旨笑顔で伝えました。お昼は社員食堂で、おじさんやおばさんにもごあいさつ。この時、少し寂しかったかな。定時に最終勤務を終え、事務所内の人々が夕食会を催してくれ、身も心も満たされ、料理とお酒を堪能できました。会社を離れる時、しみじみと全館を仰ぎ見て、楽しかったと振り返ることができました。帰宅後の家内からの「永い間お疲れさまでしたね」が、一番うれしく、ありがたく、誇らしかったのを覚えています。

 
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Q 現在の「しごと」は?

私が静かに退職できたのも、40代の早くから地域でのボランティア活動に従事が大きいと思う。いわば、退職後の人間関係と居場所を、すでに確保できていた。私はいま板橋区が主宰する「シニア講座」の講師として60代の現役の人々を対象に共に学んでいる。私の経験談や業務知識を駆使し、楽しく進めている。退職予備軍の方たちにも、今のうちからできること、すべきこと、そして仕事以外のこと、への人生行路にと早く舵を切っていただきたい。


インタビュー:井上雅史