【私たちの見聞録】海外との交流プログラム実施レポート Singapore University of Social Sciences

日本は“超高齢社会のトップランナー”として、海外から注目されています。今年、シンガポールの大学「Singapore University of Social Sciences 」から、総勢35名が100歳になってもはたらける職場『BABA labさいたま工房(以下、工房)』の見学に訪れました。今回は、そのプログラムについてレポートします。

なぜ『BABA labさいたま工房』へ?

2025年11月28日、Singapore University of Social Sciencesから先生とゼミ生、35名の見学者を迎えました。コロナ禍の2021年9月、シンガポールで開催されたシンポジウムに代表の桑原とスタッフの友保が参加したことがきっかけでつながった縁です。

シンガポールは、日本よりも加速度的に少子高齢化が進むことが予想されている国のひとつです。高齢者コミュニティ施設「アクティブ・エイジング・センター」の建設が積極的に進められているそうで、Singapore University of Social Sciencesの皆さんは、一週間ほどかけて日本各地の高齢者関連施設を見学し、その一つとして工房に訪問が決まったそうです。

大学からの見学となると、“若者”をイメージしがちですが、シンガポールではしばらく働いてから大学に通う人が多いとのことで、今回も家族連れや今度孫が生まれるという人もいました。

2023年 シンガポールの高齢者施設で、学生と一緒に手芸ワークショップをしました

皆さんを受け入れるまでの準備

工房は、大家さんの実家である一軒家を借りているので、とても35名一度には入りきれません。さてどうしたものか……。工房のお隣の『コミュニティスペースほぼのら(https://healthy-cafe-nora.jimdofree.com/)』を借り、3つのグループに分け、30分ごとに入れ替わって見学してもらうことにしました。

●Aグループ:代表桑原からBABA labの取り組みについての説明とディスカッション

●Bグループ:おばあちゃんと「指編みのシュシュづくり」交流体験 

講師役についてはこちらの記事を参照
https://www.baba-lab.net/hakusyo/badukurivol05-2j3cd

●Cグループ:工房での製作作業の見学・体験、ハンドメイド品の買い物

Bグループのシュシュづくりの材料は、毛糸を6m厚紙に巻いておく必要があります。工房の製作作業の合間におしゃべりをしながら、厚紙にくるくる巻いておきました。当日見学の対応ができないスタッフも材料の準備という形でかかわりました。

いよいよ見学スタート

工房の周りは普通車が通るのがやっとの細い道なので、近くの駐車場にバスを止めて一行はやってきました。再会を喜ぶ先生と代表。たくさんお土産も持ってきてくれました。訪問先ではまず写真を撮るそうで、すぐに工房の前で記念撮影をしました。

当日晴れていてよかったです。通訳の日本の学生もついてきてくれて、会話に自信のない工房スタッフは内心ほっとしました。あらかじめ3つのグループに分かれてもらうことは連絡していたので、スムーズに見学が始まりました。

各グループに分かれて Aグループ編

Aグループでは代表の桑原が、日本の高齢化の現状、BABA labとはどのようなところか?などをまず説明しました。工房で製作している首の据わらない赤ちゃんを抱っこする抱っこふとんは、赤ちゃんの人形と一緒に希望者に抱っこしてもらい、その機能について理解を深めてもらいました。「工房で働く高齢者はどのようにして報酬を得ているのか?」、「なぜ男性スタッフはいないのか?」、「抱っこふとんはどのようなところが使いやすいのか?」などといった質問が出ました。

 Aグループの会場の『コミュニティースペースほぼのら』は、大家さんの趣味でレコードとスピーカーがあります。通訳として同行していた学生のひとりが、レコードが回るのを初めて見たとスマホで動画を撮っていたのが印象的でした!

各グループに分かれて Bグループ編

 Bグループでは指編みのシュシュ作りを体験してもらいました。
高校生と手芸体験(https://www.baba-lab.net/hakusyo/badukurivol05-2j3cd)でも講師役を務めたスタッフが対応します。英語が話せるスタッフが作り方の説明をした後、数名に分かれて製作をしました。国籍問わず、器用な人とそうでない人がいるようです。

そうでない人には講師がマンツーマンで教えます。後から講師役のスタッフと写真を見ながら話をしたら、「この人はさっと終わって、一緒にいたこちらの人はなかなか終わらなくて大変だったのよ」などといった感想が出てきました。

各グループに分かれて Cグループ編

Cグループでは、工房の製作作業の見学と体験をしてもらいました。いつも見学者のお土産に配っている「ちょうちょクリップ」という手作り品があります。

洗濯ばさみを布のはぎれで包み、ビーズで縫い留めるもので、手に取ったら分解して作り方を研究する人もいるほどです。今回の皆さんもその製作過程に興味津々でスタッフは何度も実演していました。

また、工房では布ぞうりを制作していますが、ぞうりを編む生地は、大きな生地を手で裂いて作っています。生地を裂いて伸ばす作業はエクササイズにもなると説明したら、その作業をやってみたいと大人気になりました。

講師役を担うスタッフたちの講習会。作業の行程を何度も確認しました。

各グループに分かれて Cグループ番外編

工房ではスタッフが製作したハンドメイド品を販売しています。今回は見学がメインなのでハンドメイド品は売れないだろうと予想していました。

ところが…、Cグループで工房に入った人は製作作業を見た後に、お土産にしたり、可愛いと自分用に買ったりと思い思いに買い物をしていました。お手玉や布ぞうりといった日本ならではの商品が売れたのが印象的でした。

見学のあとで

終わった後の爽快感というか、やり切った感で対応したスタッフはほっとした表情でした。シンガポールのお土産ももらい、自分たちがやっていることをほかの人に話すという経験は、日ごろやっていることの振り返りにもなります。楽しかったね。また来てくれるといいねとなりました。

今年工房では、スコットランドからの視察も受けました。海外と日本での共通点(おじいちゃんは外に出ない笑)や公的支援の違いなど、交流しながら情報交換を行うことができ、有意義な時間となっています。


レポート:横地真子(BABA lab)

次へ
次へ

【私たちの見聞録】50代からのセカンドキャリア 家をひらく暮らしの実験室