【私たちの見聞録】海外からの見学者を迎えて感じたこと アメリカ視察編

普段私たちはものづくりをしたり、世代を越えた交流の場をつくったりしています。そんな私たちの小さな工房に、2026年春、アメリカから2つの大学の見学団が訪れました。

「なぜ日本の高齢者の働き方を学びに、BABAlabまで来てくれるのだろう?」準備をしながら改めてBABA labの役割について考える機会になりました。

4月16日はシカゴ大学大学院の皆さん20名、5月22日はボール州立大学の皆さん20名。心理学を学ぶ皆さんが知りたかったのは、「高齢になっても働き続けることとはどういうこと?」「地域の中で人とつながりながら暮らすことはどういう気持ちから?」といったことでした。

なぜ『BABA labさいたま工房』へ?

日本は「超高齢社会のトップランナー」として、世界から注目されています。

その中でBABA labさいたま工房が大切にしているのは、単に高齢者が働く場所をつくることではありません。年齢を重ねても、自分の得意なことを生かし、誰かと関わりながら役割を持てる場をつくることです。
海外とのつながりのきっかけは、2021年9月。コロナ禍の中、シンガポールで開催されたシンポジウムに代表の桑原とスタッフ友保が参加したことでした。その後、2025年にはSingapore University of Social Sciencesの皆さんがBABA labに見学に訪れました。その時の交流が大変有意義だったことから、「日本へ行くならBABAl abへ」という話が海外で超高齢社会を研究する先生方の間にも広がっていると聞き、とても嬉しかったです。

2023年 シンガポールの高齢者施設で、学生と一緒に手芸ワークショップをしました

見学を迎えるまでの準備

今回の見学では、工房と隣接するコミュニティスペース「ほぼのら」を活用し、3つのグループに分かれて体験してもらいました。

Aグループ:代表桑原によるBABA labの取り組み紹介とディスカッション

Bグループ:スタッフと一緒に指編みシュシュづくり体験

Cグループ:工房での製作作業見学、折り紙体験、ハンドメイド商品の買い物

シュシュづくりに使う毛糸を6mずつ厚紙に巻く作業は、当日対応するスタッフだけではなく、参加できないスタッフも準備という形で関わりました。「見学者を迎える」という一つの出来事を、みんなでつくっているのだと感じました。

言葉が完璧でなくても交流はできる

今回の見学者の皆さんは、心理学を学んでいる学生や大学院生でした。シカゴ大学大学院の皆さんは年齢もさまざまで、子どもや孫がいる方もいました。一方、ボール州立大学の皆さんは、日本の大学生と変わらないくらいの年代でした。

それぞれの世代の心理を学ぶ中で、「高齢になっても働くことにはどんな意味があるのか」「地域との交流は生活にどんな影響を与えるのか」を知りたいと話していました。当日は、日本語と英語が混ざった交流になりました。中には、日本のアニメを見て日本語を話せるようになったという参加者も。

私自身、英語は得意ではありません。ボール州立大学の皆さんへの説明では、最初のあいさつを覚え、英語が苦手なことも正直に伝え、あとはジェスチャーや商品の力を借りながら説明しました。日本の高齢化率を説明すると、見学者がその場でアメリカの高齢化率を調べて教えてくれました。次のグループからは「アメリカの高齢化率、知っているよ!」と少しだけ英語で話せるようになりました。完璧な英語がなくても、伝えたい気持ちがあれば交流は生まれる。そんなことを実感しました。

アメリカでは、高齢者が集まる場も少ないうえに、若者と高齢者は交流機会も少なく、分断が日本よりも進んでいるという話もありました。また、他民族社会なこともあり、出身によって、高齢者とのつながり方が違うという話も新鮮でした。

ものづくりを通して生まれる交流

指編みシュシュづくりでは、スタッフ自身にも大きな変化がありました。以前は「きれいに完成させてもらうこと」が大切だと思っていたそうです。もちろん完成することも大切。

でも、何度も交流を経験する中で、「一緒につくる時間を楽しむこと」も同じくらい大切だと気づいたと言っていました。「仕上がらなかったら、一緒に編めばいいのよ」その言葉と笑顔が、とても印象に残っています。

見学を終えて

約2時間の見学が終わると、スタッフはホッとします。緑茶とお菓子を囲みながら、「どんな様子だった?」、「次はこうしたらもっと伝わるかも」と振り返ります。対応するスタッフもいれば、準備を担当するスタッフもいる。それぞれの関わり方で、ひとつの交流をつくっています。

今回の海外交流を通して、BABA labの魅力は、場所や商品だけではなく、そこにいる人同士の関わりそのものなのだと思います。これからも海外を含め、さまざまな地域から見学者を迎える予定です。毎回の出会いと気づきを大切にしながら、私たちらしい交流の場を育てていきたいです。


レポート:横地真子(BABA lab)

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